以下は、オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所(RISJ)発行の報告書
「Generative AI and news report 2025」をもとにした
📊 日本語まとめ&分析記事です。
🧠 生成AIとニュースの2025年:人々が考える「AIの役割」と「報道の未来」
2025年、生成AI(Generative AI)は私たちの日常、そして報道のあり方を大きく変え始めている。
オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所が、**6か国(日本・米国・英国・フランス・デンマーク・アルゼンチン)**を対象に行った最新調査によると、AIの利用と認識は過去1年で急速に拡大しており、社会全体の意識に明確な変化が生まれている。
📈 1. 生成AIの利用率が「インターネット黎明期の3倍」のスピードで拡大
2024年には40%だった「生成AIを使ったことがある人」の割合が、
2025年には**61%へ急増。週単位の利用も18%→34%**とほぼ倍増した。
最も人気のあるAIは依然としてChatGPTで、週1回以上使う人が22%。
年齢層別では、18〜24歳の若年層の59%が週1回以上利用する一方、55歳以上では20%にとどまる。
さらに、利用目的にも変化が起きている。
- **情報検索(24%)**が最も多く、
- **メディア制作(21%)**を初めて上回った。
- 一方で「ニュースを得るためのAI利用」は倍増したものの、まだ**6%**にとどまる。
📊「生成AI利用率の伸びは、1990年代のインターネット普及の約3倍の速さ」(報告書より)
🔍 2. 「AI検索回答」が新常識に ― だが半数は“信頼しすぎない”
GoogleやBingなどが導入した**AI生成検索回答(AI Overviews)は、
すでに週1回以上見たことがある人が54%**に達した。
ただしクリック行動は分かれており:
- 33%が「リンクをよくクリックする」
- 37%が「時々クリックする」
- 28%が「ほとんどクリックしない」
信頼度は**50%が「信頼している」**と回答したが、
健康・政治のような重要分野では「他の情報源で確認する」と答えた人が多数を占めた。
💬「AIの答えは速くて便利だが、最終判断には人間の確認が必要」
— 調査回答者コメントより
🌐 3. AIは社会の“どこにでもある存在”に ― しかし評価は分かれる
調査によると、人々の**41%が「AIは社会のあらゆる分野で常に使われている」**と感じている。
特に利用が多いとされる分野は:
- 検索エンジン(68%)
- ソーシャルメディア(67%)
- ニュースメディア(51%)
一方で、「AIが社会を良くする」と考える人(楽観派)は平均29%、
「悪化させる」と考える悲観派は22%。
ただし、領域によって評価は異なる:
- 医療・科学・検索では楽観的。
- 政治・政府・報道では悲観的。
特に米国では「AIが社会を悪化させる」と答えた割合が前年より7ポイント増加した。
👥 女性は男性よりもAIに懐疑的で、「社会を悪化させる」と考える傾向が強い。
🗞️ 4. 「AIが作るニュース」への抵抗感 ― 9割近くが“人間主導”を支持
ニュース制作におけるAI利用に関しては、依然として**“強い抵抗感”**が残る。
| ニュース制作の形態 | 「快適に感じる」割合 |
|---|---|
| 完全にAIのみで制作 | 12% |
| 人間が監督するAI制作 | 21% |
| 人間が中心+AI補助 | 43% |
| 完全に人間制作 | 62%(+4pt) |
つまり、人間主導ニュースへの信頼は圧倒的に高い。
特に英国とデンマークではAIニュースへの抵抗が強く、
日本とアルゼンチンでは比較的寛容な姿勢が見られた。
✍️ 5. 「AIは裏方ならOK、表に出るのはNG」
AIの活用分野別に見ると、
- 文法チェック(55%)
- 翻訳(53%)
といったバックエンド作業には肯定的。
一方で、 - AIがニュースをリライト(30%)
- AIプレゼンター登場(19%)
といった“表舞台での利用”には拒否反応が強い。
また、AIがニュースを「安く・早く」作れる点は好意的に受け止められているが、
その一方で「透明性(−8)」と「信頼性(−19)」が下がると考える人が多い。
📉 「AIはコストを下げるが、ニュースの信頼を損なう」
― 調査チームの総括
🧩 6. 「AI監修は本当にあるのか?」という不信感
AIが生成した記事を人間がチェックしていると「常に/よく」思う人はわずか33%。
国別では:
- 日本 42%
- アルゼンチン 44%
- 英国 25%
ニュースへの信頼が高い人ほど「AI監修が行われている」と信じており、
信頼が低い層ではその逆。
つまり、AI運用の透明性=ニュースへの信頼を左右する大きな要因となっている。
📱 7. 一般読者は「AIニュース機能」をほとんど見ていない
AIがニュースサイト上で直接使われる機能(要約、チャット、音声変換など)は、
まだ一般的ではない。
- AI要約を「見たことがある」人:19%
- AIチャット機能:16%
- AIラベル(AI使用表示)を「毎日見る」人:19%
日本とアルゼンチンでは表示が進んでいる(約3割)が、
英国ではわずか6%。
全体的に、AIニュース機能の“見える化”が遅れているのが現状だ。
🔎 8. 結論:AIニュース時代の「信頼」をどう再構築するか
生成AIはすでに社会の基盤技術となったが、
ニュース分野では“信頼と透明性の課題”が最大の焦点となっている。
ロイター研究所は次のように結論づけている。
「AIの普及速度は驚異的だが、人々の信頼はまだ追いついていない。
ニュース業界がAIをどう使い、どう説明するかが、今後の信頼を決定づける。」
AIを単なる“効率化ツール”として使うのではなく、
人間の監督・倫理・説明責任を明確に組み込むことが、
次世代のニュースに求められる。
