中国のAI開発企業DeepSeekは2026年9月10日、新モデル「DeepSeek-V4.1-Flash」を発表した。同社が新たに設計した「Causal Encoder-Decoder(CED)」アーキテクチャを初めて採用したモデルで、高性能と低コストを両立させた点が注目されている。従来の「V4 Flash」の後継にあたり、コーディングやエージェント用途を中心に既存モデルを上回る性能を示しているという。
最大の特徴は、合計40層のTransformer層を20層の「エンコーダー」と20層の「デコーダー」に分割した設計だ。入力の読み込み(プリフィル)時には約80億パラメータ、出力の生成時には約160億パラメータのみを活性化させることで、5520億パラメータ規模のモデルでありながら、実際の計算コストを大幅に抑えている。また画像理解についても、後付けではなく事前学習の初期段階からテキストと画像の埋め込みを同時に学習させるネイティブなマルチモーダル設計となっており、KVキャッシュのサイズも従来のV4 Flashの約4分の1に圧縮された。これにより長いコンテキストをより安価に処理できるようになったとしている。
ベンチマークでは、Terminal-Bench 2.1で90.6、DeepSWEで74.2、Codeforcesレーティングで3471を記録するなど、コーディング・エージェント関連のタスクで強みを見せている。ツール利用を伴うHLEのスコアでも63.9を記録し、Anthropicの「Claude Opus 5」(63.6)をわずかに上回ったと報告されている。それでいて価格はオフピーク時で入力100万トークンあたり0.003ドル(キャッシュヒット時)、0.15ドル(キャッシュミス時)、出力は0.60ドルと、GPT-5.6 SolやClaude Opus 5クラスの性能を大幅に低いコストで提供する点が大きなアピールポイントとなっている。
DeepSeek-V4.1-FlashはすでにDeepSeek API上で利用可能となっており、TencentのWorkBuddyやCodeBuddy、OpenCodeといったパートナーサービスにも統合済みだ。同社は北京時間9月14日正午以降、上位モデル「V4 Pro」宛てのリクエストを、後継の「V4.1 Pro」が登場するまでの間V4.1 Flashに自動転送し、V4.1 Flashの料金で課金する方針も明らかにしている。事実上、V4ProからV4.1 Flashへの世代交代が進む形だ。低コストで高性能なモデルを次々と投入する中国勢の動きは、OpenAIやAnthropic、Googleなど欧米主要プレイヤーにとっても引き続き無視できない存在感を示している。

