AIチャットボットが買い物の相談相手として利用される機会が急増する中、今度は「ChatGPTが詐欺サイトを推薦してしまう」という新たな問題が報じられました。
英紙The Guardianが報じた内容によると、OpenAIのChatGPTが実在ブランドを装った偽通販サイトを利用者に紹介してしまうケースが確認されており、専門家は「AIショッピング時代の重大なセキュリティリスク」だと警鐘を鳴らしています。
まとめ:ChatGPTが“偽ショップ”を推薦?──AIショッピング時代に浮上した新たな詐欺リスク【2026】
何が起きたのか?
詐欺サイト検出サービスを提供する英国企業Ask Silverによる調査では、ChatGPTに商品検索を依頼した際、すでに閉鎖されたブランドの偽サイトを紹介するケースが発見されました。
具体例として挙げられたのが英国の高級靴・バッグブランド
- Russell & Bromley
です。
同社は2026年1月に経営破綻後、英国小売大手
- Next plc
に吸収され、独立した公式サイトは存在しなくなりました。
しかしChatGPTに
「人気のRussell & Bromleyのバッグを教えて」
と質問すると、
一見公式サイトのように見える偽サイトを推薦してしまったといいます。
なぜAIが騙されるのか?
専門家によれば、考えられる原因は複数あります。
① AIがWeb上の情報を信頼しすぎる
大規模言語モデル(LLM)は膨大なインターネット情報を学習しています。
そのため、
- SEOで上位表示された偽サイト
- ブランド名を含む大量コンテンツ
- 公式風のドメイン
などを本物と誤認する可能性があります。
② AIの学習データ汚染(Data Poisoning)
Ask Silverの分析では、
悪意ある業者がAI向けに大量の偽コンテンツをばらまき、モデルの判断を誘導している可能性も指摘されています。
これは近年注目されている
- LLM Poisoning
- Search Poisoning
- Prompt Manipulation
などの攻撃手法と共通する考え方です。
③ AIは「公式サイト」を保証していない
利用者は
AIが紹介するなら公式だろう
と思いがちですが、
ChatGPTは紹介先の正当性を保証しているわけではありません。
特にブランド名を含む検索結果では、
- 公式
- 転売業者
- アフィリエイトサイト
- 偽通販サイト
が混在する可能性があります。
実は以前から存在する問題
AIが誤情報を広める事例はこれが初めてではありません。
今年にはBBCの記者が、
自分は有名なホットドッグ早食いチャンピオンだ
という完全な作り話をブログに掲載。
するとChatGPTがそれを事実として紹介するケースが確認されました。
つまり、
AIは「もっともらしい情報」を本物として扱ってしまう弱点を依然として抱えています。
より大きな問題は「AIが代わりに買う未来」
今回の問題が注目されている最大の理由はここです。
現在テクノロジー企業各社は、
AIエージェントによる自動ショッピング
を急速に推進しています。
OpenAI
ChatGPT内で商品の検索・比較・購入が可能な機能を拡充。
Amazon
AIショッピングアシスタントが
指定価格まで下がったら自動購入
する仕組みを開発。
AIがユーザーの代わりに決済できる新しい支払いプロトコルを開発中。
さらにクレジットカード会社も、
AIエージェント向け認証基準の整備を進めています。
AIショッピング時代の新しい詐欺
もし将来、
- AIが商品を探し
- AIが比較し
- AIが決済する
世界になれば、
詐欺師たちもAIを標的に最適化した手法を開発してくるでしょう。
今後は
- AI向けSEO
- AI向け偽レビュー
- AI向け偽ECサイト
- AI向けブランドなりすまし
といった新しいサイバー犯罪市場が拡大する可能性があります。
利用者が取るべき対策
AIの推薦をそのまま信用するのではなく、
購入前に以下を確認することが重要です。
チェックポイント
✅ URLが公式サイトか確認する
✅ 企業情報や会社住所を確認する
✅ Whois情報を確認する
✅ クレジットカード入力前に再検索する
✅ Google検索や公式SNSで照合する
✅ 「公式」「正規」と書かれていても信用しない
まとめ
ChatGPTをはじめとする生成AIは便利な買い物アシスタントになりつつあります。
しかし今回の事例は、
「AIが薦めた=安全」ではない
ことを改めて示しました。
特にAIエージェントによる自動購入が普及すれば、攻撃者は人間だけでなくAIそのものを騙す方向へ進化していくでしょう。
AIは強力なツールですが、最終的にクレジットカード情報を入力し、お金を支払うのは利用者自身です。
少なくとも現時点では、
「AIの推薦は参考情報のひとつ」
として扱い、公式サイトかどうかを自分で確認する習慣がこれまで以上に重要になりそうです。
