
Anthropic、AIのClaudeが「フェルマーの最終定理」を世界初の完全形式化 ―11日間で1300万行の証明を生成
Anthropicは2026年9月、自社のAIモデル「Claude」が数学の超難問として知られる「フェルマーの最終定理」について、コンピューターが検証可能な形の証明(形式化)を世界で初めて完成させたと発表した。証明支援言語「Lean」を用いたもので、数十体のClaudeエージェントが協調しながら、ほぼ自律的に作業を進めたという。
今回の成果は、コロンビア大学のTianyi Peng氏らが設計した数学形式化のための共同プラットフォーム「Prove2Me」上で達成された。Prove2Meは証明すべき定理群を有向非巡回グラフとして管理し、複数のClaudeエージェントを割り当てて並行して証明を進めさせる仕組みを持つ。Claudeはこの枠組みの中で11日間にわたり作業を継続し、最終的に1300万行を超えるLeanコードと、約2万9500個の新たな定理を生成した。これはLeanの標準数学ライブラリ「mathlib」の約5倍の規模に相当するという。
フェルマーの最終定理は1994年に数学者アンドリュー・ワイルズによって証明されたが、その証明をコンピューターが機械的に検証できる形へ「形式化」する作業は、専門家の間では数年単位の時間がかかると見られていた。著名な数学者ケビン・バザード氏は、今回Claudeが達成したスピードを「並外れた成果」と評し、想定をはるかに超える速さで完了したと驚きを示している。
この成果は単なる話題性にとどまらず、AIが長時間・自律的に複雑な研究タスクを遂行できることを示す実例として注目されている。数学の論文や証明の正しさを検証する「形式化」は本来非常に労力がかかる作業だが、AIエージェントがこれを高速化できれば、現代数学の膨大な文献に潜む誤りの発見や、新たな理論の検証速度向上につながる可能性がある。Anthropicは前日にコーディング性能を強化した新モデル「Claude Fable 5.1」を発表したばかりで、モデル自体の進化に加え、AIを使った科学研究への応用でも存在感を強めている。
