9月 27, 2026

Anthropic、Claudeが理論物理学の「9ループ振幅」計算に成功 ― 専門家の挑戦状に応え世界最高難度を達成

Anthropicは現地時間2026年9月25日、自社のAIモデル「Claude」が理論物理学の難問である「9ループ散乱振幅」の計算に成功したと発表した。計算に使われたのは平面N=4超対称ヤン・ミルズ理論と呼ばれる「おもちゃの模型」で、新しい計算手法を試すために物理学者が用いる理論だ。今回の9ループでの計算は、この分野でこれまでに達成された中で最も複雑な振幅計算になるという。

今回の成果は、理論物理学者マット・フォン・ヒッペル氏が2026年8月7日に公開した挑戦状がきっかけだった。同氏はAI企業各社に対し、学術レベルの計算資源だけを使って振幅理論の最前線の難問を解くよう呼びかけ、その一つとして「N=4超ヤン・ミルズ理論における9ループでの6粒子振幅」を挙げていた。これに応じたのがAnthropicの物理学者リアム・フィッツパトリック氏とシッダールト・ミシュラ=シャルマ氏で、Claudeを使って計算を進め、9月1日頃に結果を導き出したとしている。結果はSLAC国立加速器研究所のランス・ディクソン氏が独立に検証しており、信頼性は確認済みだ。なお、中国科学院の宋恒氏率いる別チームも、AIの支援を受けて関連する計算に独自に取り組んでいたという。

計算には、研究プラットフォーム「Claude Science」上で最新モデル「Claude Fable 5.1」が用いられ、「ブートストラップ法」と、間接的に振幅を求める「フォームファクター法」という2種類の手法が試された。PythonとSymPyパッケージを使った数式処理により、96個のCPUで約1週間かけて計算を実行し、費用は1手法あたり1000~2000ドル程度に収まったという。学術予算でも十分に賄える規模で完了した点は、AIが専門的な科学計算の担い手になり得ることを示す一例といえる。

Anthropicは9月上旬にも、Claudeが「フェルマーの最終定理」の完全な形式化に世界で初めて成功したと発表したばかりで、数学分野での成果に続き、今回は理論物理学の分野でも存在感を示した形だ。モデル自体の性能競争だけでなく、AIを研究の実務にどう組み込むかという応用面でも、Anthropicが積極的に事例を打ち出していることがうかがえる。専門家の監督なしに、複雑で扱いを誤りやすい計算手順を最後までやり遂げられたことは、AIが自律的に高度な科学研究を担う可能性を示す事例として注目されそうだ。

出典: Anthropic「Claude computes a nine-loop amplitude in N=4 super-Yang-Mills」(2026年9月25日)

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