古いAIが新しいAIに勝っている理由
生成AIブームと現実の乖離
ChatGPTやLlamaといった生成AIに巨額の投資が集まる一方、実際に利益を生み出しているのは従来型の機械学習である。
Metaは2025年第2四半期に180億ドル超の利益を計上したが、その原動力は「スーパーインテリジェンス」ではなく、FacebookやInstagramの広告を支える推薦アルゴリズムだった。
- GenAI(大規模言語モデル)は新しいコンテンツ生成が強みだが、まだ収益化は限定的。
- 従来AI(分類・検出・最適化)は数十年の実績があり、広告、医療、製造、航空宇宙などで安定的に成果を出している。
投資はGenAI一色
- 2024年、生成AIへの民間投資額は339億ドル、前年比+18.7%、2022年比で8.5倍。
- AI関連投資全体(2523億ドル)の20%以上を占める。
- 米国は1091億ドルと、中国の9.3億ドルを大きく上回り圧倒的な存在感。
投資家にとって「インターネットやモバイル革命に並ぶ潮流」と映るが、実際の事業収益への貢献度はまだ限定的。
従来AIが強い領域
- 医療
- 1990年代からがん検診などで活用。
- 近年は血液検査データを20年分解析し、患者ごとの「個別基準値」を構築する研究も進む。
- 医療は安全性と規制遵守が最優先で、新技術より確実に機能する技術が選ばれる。
- 航空宇宙
- ドバイのスタートアップLeap 71は、物理法則を埋め込んだ決定論的AIを用いてロケットエンジンを設計。
- 2024年に小型ロケットを成功裏に試験、2025年にはさらに複雑なエンジンを開発。
- 「生成AIは論文要約に使うが、ロケット設計は従来型AIで十分」と創業者。
- 広告・製造・物流
- Metaの広告最適化(5%のコンバージョン向上)
- 不正検知、サプライチェーン最適化など 収益直結型の活用が継続。
研究・教育の場での共存
- 大学では生成AIと従来AIの両方の研究が進行。
- 生成AIは使いやすさから心理学・生物学・環境科学などにも波及。
- 一方で小規模データや特化要件には、従来のシンプルなAIの方が適するケースも多い。
課題は、生成AIが注目を独占することで従来AIの研究が過小評価されがちな点。
→ 今後、従来AI研究者はPRや発信力を強化すれば、GenAIが期待外れとなった際に再評価される可能性が高い。
結論
- 短期的な成果:従来AI(広告、医療、航空宇宙などで確実な利益を生む)
- 長期的な期待:生成AI(投資急増、応用範囲拡大も収益化はこれから)
- 現実的な戦略は、両者をバランスよく取り入れ、信頼性と革新性の両立を目指すこと。
