OpenAIは現地時間2026年10月5日、欧州連合(EU)のユーザー向けに、ChatGPTおよびコーディングツール「Codex」が生成するテキストへ不可視の電子透かしを付与する機能を数週間かけて展開すると発表した。EUのAI法(AI Act)が、AIが生成したコンテンツを機械的に識別可能にすることを事業者に求めていることを受けた対応だ。
導入される技術「textGrain」は、モデルが出力する単語の選び方にごくわずかな統計的な偏りを加えることで透かしを埋め込む仕組みで、人間の読者には通常の文章と変わらないように見える一方、専用の検出器であればそのパターンを識別できるという。この信号はテキスト自体に刻み込まれるため、コピー&ペーストして他の文書に貼り付けても消えずに残る点が特徴だ。
対象となるのはEU圏内のユーザーで、ChatGPTの全プランの対象ユーザーに順次適用される。一方、API経由の利用については全世界共通で透かし付与はオプトイン方式のままとなり、検出器へのアクセスも承認を受けた研究者に限定される。なお、OpenAI自身の検証では、生成文の単語の4分の1程度を書き換えるだけで検出率が17%まで低下するとされ、短い文章や数式の回答、翻訳されたテキストでは検出精度がさらに下がるという限界も明らかにしている。
テキストへの電子透かしは、画像や動画と比べて編集や翻訳で容易に信号が失われやすく、技術的な難易度が高いとされてきた分野だ。Anthropicは約2カ月前、Claudeが生成するテキストに対して同様の透かし技術を世界全体で適用すると発表しており、今回のOpenAIの対応はこれに続く動きとなる。生成AIの透明性確保を巡っては、米カリフォルニア州の「AI Transparency Act(SB 942)」のように画像・音声・動画への識別ラベルや透かしを義務付ける動きも広がっており、EUのAI法対応を機に、ChatGPTやCodexなどテキスト生成サービス全般で、同様の対応が今後広がっていく可能性がある。

